我々捜査1課の捜査員にとって、事件現場における初動捜査の成否は、事件の早期解決のための非常に重要なファクターである。予断を排し、あらゆる可能性について、徹底的に検証しなければならない。

(いつから捜査1課の捜査員になったのだ。)

先日の、「ワゴンRのエンジンがかからない事件」のことである。(今日の事件簿

第2の事件が起こった。

またしても、イチゴハウスでの作業中に妻からの携帯電話が鳴った。

「イズミ夢タウン邑久店の駐車場にいるんだけど、またまたワゴンRのエンジンがかからない。私とワゴンRは相性が悪いのだろうか。」

第1の事件では、現場に急行した時にはすでに”とじい”からの遠隔捜査が入り、ラジエータの水漏れによるオーバーヒートの線で、捜査が進められていた。現場の保全が甘く、ラジエータに異常がないことがわかった段階で他の可能性を探るすべは断たれていたため、事件は迷宮入りしたのだ。

今回は、絶対に初動のミスはあってはならない。

私は、前回検証できなかった、事件の核心に迫る質問をした。

「シフトレバーを、Pの位置でガチャガチャと動かして、エンジンをかけてみ!」(この車は、コラムシフトである。)

携帯電話の向こうで、彼女がガチャガチャする音が聞こえ、そして無事エンジンがかかる音がした。

「あっ。」

声にならない声がして、突然携帯電話は切られた。容疑者は、そのまま逃走したようである。前回、不必要な情報で現場を混乱させ、私の貴重な作業時間を奪った容疑者が。

私は、付近の聞き込みを続け、容疑者の自宅を割り出して張り込んだ結果、のこのこ現れた容疑者を任意で確保した。


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