
妻の従兄で多摩美准教授、野村辰寿氏が、うちの娘にこれ読むといいよと紹介してくれたマンガ。
漫画家東村アキコ自叙伝。著者が美大を受験し、美大で過ごし、卒業後漫画家になっていく過程で起こった出来事を綴る痛快無比の物語。
しかし、この物語の主題は、美大を受験する高校時代に出会った名物画塾講師、日高先生への思いなのだ。日高先生との関係が、スリリングでおもしろく、しかしどこか物悲しく展開されていく。
読者は、笑わされながらも、何か起こってほしくないことが起こりそうな不穏な予感を抱きつつ読み進める。そして、最新刊4巻の終わりに、その起こってほしくないことは現実になってしまう。
第5巻の発売が待たれます。
著者の視点は、現在と過去を自由に行き来する。現在の自分が過去の自分を見つめ、哀惜の思いを込めて語った言葉がある。こんな言葉。
「しかしなんで若い時って 出来るのに出来ないフリ しんどくないのにしんどいフリ 楽しいのに楽しくないフリ なんだって出来たはずなのに 無敵だったはずなのに 大人になった今 そんなことを考えてるよ 先生」
どてっ腹をぶち抜かれた。
ぼくもきっとそうだった。たいして傷ついていないのに傷ついたフリ。時間なんかいくらでもあったのに、忙しくて時間が無いフリ。
今だってきっとそうだ。10年ぐらいあとになって思うこと。たいした問題じゃないのに、大問題のフリ。まだまだやれるのに、やれないフリ。
いつだって、ああしときゃよかったの、後悔人生。







