何日か前、被災地で、「県外に頼れる人はいらっしゃるんですか?」と問うTV局のレポーターに対して、赤ちゃんを抱いた女性が、「いるといいですね。でも私は、この子にはこの街で地域の人に見守られながら強い子に育っていってほしいと思います。」と、答えていました。故郷の再生を期す強い気持ちに、圧倒される思いでした。


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2000年に「仮面ライダークウガ」というストーリーがTVで放映されました。

古代からよみがえり、殺人ゲームに明け暮れる未確認生命体=グロンギ族に対し、変身ベルトを身につけた五代雄介が仮面ライダークウガに変身し、これを一体一体撃破していく物語。


僕は仮面ライダー1号・2号に夢中になった世代なんですが、わが子もこのクウガの時5~6歳の適齢期で、親子で仮面ライダーの黎明期に遭遇した幸運な世代なんです。


このクウガという大まじめなストーリーには、ある主題がこめられていました。それは「何かになる」ということ。その主題は、第7話~8話に集約的に表現されていました。


グロンギ族に殺された夏目教授の娘・実加が長野から東京の捜査本部を訪れた。教授の遺品を持って。捜査に役立ててもらうために。しかし、忙しい大人たちにその思いは取り上げてもらえない。不信感でいっぱいになった実加は、「私、死ぬかも。」という言葉を残して姿を消す。

実加を必死で探す五代雄介。そして、海岸で実加を見つけ、彼女にこう語りかける。
「大丈夫。みんな、やるときゃやってくれるよ。そして君も、何かができる時が必ずやってくる。お父さんもきっと、そのことを楽しみに見守ってくれているよ。」

そして雄介は、クウガのペガサスフォームに変身し、空の敵を射抜く。


子どもたちは、今は何者でもないかもしれない。しかし、将来必ず何かになる。何かになって、みんなのために働ける時が必ずやってくる。


五代雄介は、周囲の心配をよそに、「大丈夫。俺クウガなんだから、戦うの当たり前じゃん。」と、いつも笑っている。そして、戦いに向かう気持ち一つでクウガは新しい力を獲得していく。

これは、大人たちに向けてのこんなメッセージだったかもしれない。


何者でもない時代を過ぎて、大人たちは何かになった。その、なった何か、選んだ職業、獲得した力を精一杯使って、世のために、次の世代のために役立てよう。それが使命だ。


このストーリーの脚本を手がけた荒川稔久という人物。最近経歴を調べてビックリしたんですが、愛知県立大学出身で年齢はぼくより一つ下らしい。ということは、あの狭いキャンパスで同じ時代を過ごしたということか。おもしろい奴が結構いたキャンパスでした。

荒川くんのメッセージ、ちゃんと受け止めなくっちゃね。