高杉晋作は、死の床にあってこんな辞世を詠んだという。


「おもしろきことも無き世をおもしろく」


しかし、下の句を続けることができないでいたら、側近が次のように続けた。


「住みなすものは心なりけり」


高杉は「おもしろいのう」とつぶやいて息をひきとったという。


でもこの下の句は、解釈的説明的で高杉らしくないと思う。

こんなのどうかな。


「我は生きけりあとはよろしく」


ともあれ高杉は、同じようにおもしろきこともない世を生きる後世の我々に、自分なりの下の句を作れと投げかけて、空でニヤニヤ笑っているんじゃないか。そんな気がしませんか。